稀代の武闘派として名を馳せたトップ、中野太郎の現在について探ると、彼はすでに鬼籍に入っています。2005年の引退後は表舞台から完全に姿を消し、温暖な気候を求めて沖縄県内へと拠点を移していました。長年にわたる逃亡生活や精神的重圧が重なり、晩年は脳梗塞を患って車椅子生活を余儀なくされるなど、闘病の日々を送っていたことが分かっています。
中野太郎の死因と最期については、2021年1月10日、沖縄県内の療養施設にて肺炎のため84歳で死去したと報じられました。かつて数百人のボディーガードに守られ、敵対勢力から命を狙われ続けた首領の最期は、ごく親しい親族のみに見守られた静かな幕引きでした。葬儀も大々的な組葬などではなく、密葬の形でひっそりと執り行われています。
世間を再び驚かせたのが、死の直前である2018年12月に上梓された中野太郎の著書『悲憤』(講談社)です。同書の中で中野氏は、自らがなぜ凶行へ踏み切らざるを得なかったのか、当時の心境を赤裸々に吐露しています。
「裏切りと謀略の中で、筋を通す道はこれしかなかった」――手記で語られた生々しい告白は、ヤクザ社会の内情を暴いた一級の証言資料としてベストセラーとなり、昭和から平成の裏面史を語る上で欠かせない記録となっています。