ブラックバードのベースとなったのは、空冷ポルシェの金字塔であるポルシェ・911ターボ(930型および964型)。物語の進展に伴い、マシンは常軌を逸したモディファイを重ねていく。
初期は名門チューナーの手によって最高速仕様へと仕立て上げられ、最高出力は600馬力オーバーへ到達。しかし、ライバルである「悪魔のZ」の異次元の加速に対抗するため、エンジンは徹底的な排気量アップとツインターボ化を敢行。果てはボディ剛性の極限強化、カーボンパーツの多用、パイプフレーム構造の導入にまで至る。軽量化とパワーアップの追求は、もはやベース車両の原形を留めない領域へと踏み込んでいった。
空冷ポルシェが歴史的価値を高め、投機対象として保護される現代の視点から見つめ直すと、当時のチューニング手法は極めて挑戦的でアグレッシブだ。貴重な空冷ユニットに限界まで過給圧をかけ、ボディを切り刻んで剛性を張り巡らせる。狂気とエンジニアリングが真正面からぶつかり合っていた時代の熱量が、ブラックバードというマシンのディテール一つひとつに凝縮されている。