酸による化学分解だけでは取りきれない頑固な汚れや、経年の擦れによるくすみには、金属用研磨剤の代名詞である「ピカール」(日本磨料工業)の出番となる。微粒子研磨剤と鉱物油が配合されたこの液体は、微細な凹凸を滑らかに整え、鏡面のような反射を生み出す。
柔らかい布に米粒ほどのピカールを取り、硬貨の表面を円を描くように磨く。布が真っ黒になるのと引き換えに、新品の発行硬貨を思わせる光沢が蘇る。ただし、力を入れすぎて激しく擦りすぎると、刻印された桜の花や「100」のレリーフのエッジが摩耗する恐れがある。あくまで表面の曇りを拭い去る程度の力加減を保つことが、美しさを長持ちさせる秘訣だ。