チーマーを語る上で欠かせないのが、当時のアパレル・ファッション産業に強烈なインパクトを与えた「渋カジ(渋谷カジュアル)」の存在だ。彼らのスタイルの核となったのは、本物の質感を備えたアメリカンカジュアルであった。バンソンやショットの重厚なレザージャケット、リーバイス501のヴィンテージデニム、そして足元を固めるレッドウィングのワークブーツ。これが彼らのアイデンティティであり、無言の主張だった。
コワモテの暴走族とは異なり、洗練されたアメカジスタイルで街を闊歩する姿は、当時の若者たちにとって圧倒的な憧れの対象となった。この動きは日本のストリート・カルチャーにおける決定的な転換点となり、のちに世界中へ波及する東京独自のアパレルシーンや裏原宿カルチャーの芽生えを強力に後押ししたのである。