新たな活動母体となったARI Productionにおいて、千眼美子はこれまでにないジャンルへの挑戦を余儀なくされる。復帰第一作となった『さらば青春、されど青春。』では、かつてのプレッシャーから解放されたかのような瑞々しい演技を披露し、多くの映画関係者を驚かせた。単なる教団プロパガンダの枠にとどまらないエモーショナルな熱量は、彼女の女優としての基礎体力の高さを如実に物語っていた。
続いて主演を務めた『僕の彼女は魔法使い』などのファンタジー映画では、コメディエンヌとしての天性のセンスと神秘的な佇まいを融合させ、独自のキャラクター造形を確立した。いわゆる宗教映画というカテゴリーに対する世間の先入観は根強い。しかし、日本映画界のメインストリームとは一線を画す特異なフィールドで経験を積むことにより、彼女の演技メソッドはより多層的で深みのあるものへと進化を遂げていった。