音羽屋の新たな希望として初舞台を踏み、着実に芸を磨く尾上眞秀。日仏のルーツを持つ彼の存在は、歌舞伎という伝統芸能に新しい風を吹き込んでいる。そして、その成長を温かく、かつ厳しく見つめるのが、叔父筋にあたる十代目松本幸四郎をはじめとする高麗屋の一門だ。
幸四郎が仕掛ける挑戦的な舞台作りに、若き眞秀や染五郎が呼応する。名門同士が切磋琢磨しながら芸を磨き合う構造は、何百年もの間、歌舞伎座の熱気を支えてきた根源的なエンジンだ。血筋という縦糸と、現代の感性という横糸が織りなす布は、次代へと力強く引き継がれている。