岡山カルチャーゾーンの中核を担う岡山県立美術館は、郷土ゆかりの美術を体系的に網羅する知の殿堂だ。水墨画の巨星・雪舟や、剣豪でありながら卓越した筆遣いを見せた宮本武蔵の真筆など、中世から近世にかけての国宝・重要文化財クラスの優品が静かに鑑賞者を迎える。
とりわけ見逃せないのが、千年の歴史を誇る伝統工芸・備前焼の常設展示だ。釉薬を一切使わず、炎と灰の偶然の作用によって生み出される「窯変」の美学。古備前の力強い肌合いから、人間国宝たちが極めた現代の洗練された造形美までを一望できる。絵画と陶芸が織りなす重層的な歴史の厚みに浸るひとときは、知的な快感そのものだ。