公的な名称を「渋谷川遊歩道路」というこの小道は、かつて渋谷川の清流が流れていた場所だ。水路に蓋をして生まれた全長約1キロメートルの空間は、車が通れない歩行者専用道路という特性ゆえに、90年代以降の東京において極めて特異な生態系を育んできた。
メインストリートには出店できないインディペンデントなデザイナーや古着店、レコードショップが路地裏に拠点を構え、やがて世界中を席巻するストリートカルチャーの爆心地となった歴史は記憶に新しい。巨大な商業ビルに押し込められた消費体験とは対照的に、路面店を縫うように歩き、偶然の出会いを楽しむ回遊性こそが、この場所の変わらない骨格となっている。