プロの料理人が現場で実践している、臭みを根こそぎ除去する標準下処理工程を体系化しました。この工程を忠実になぞるだけで、魚屋の安売り切り身であっても劇的にクリアな味わいへ生まれ変わります。
まずはあんこう切り身の下処理におけるファーストステップ、塩揉みから着手します。
- 塩の均一塗布:切り身全体重量に対して約2〜3%の粗塩をまんべんなく振り、指の腹で皮目を中心に優しく揉み込みます。強い力で身を潰さないよう配慮してください。
- 脱水と浸透待ち:バットを少し傾けて15〜20分ほど静置します。浸透圧の作用によって、臭気を含んだ濁った水分とぬめりが大量に表面へ染み出してきます。
- 水洗いと水気拭き取り:冷水で浮き出たぬめりと塩分を素早く洗い流し、清潔なキッチンペーパーで水分を完全に拭き取ります。
続いて、プロの仕立てにおいて最も技術差が出るあんこうの霜降り湯通しへ移行します。熱湯と冷水による下ごしらえは、湯温のコントロールが命運を分けます。
ぐらぐらと沸き立つ100℃の熱湯に長時間浸すと、繊細な白身のタンパク質が破壊され旨味成分が湯へ流出してしまいます。鍋肌から小さな気泡が立ち上る85〜90℃の湯に切り身を数個ずつくぐらせ、皮がチリッと白く縮んだ瞬間に氷水へ落とすのがあんこう鍋臭み取りのコツです。冷水の中で皮目を指先で撫でると、白く固まった粘液がポロポロと剥がれ落ち、骨の隙間にこびりついた赤黒い血合いも簡単に掻き出すことができます。