30代に入ると、長い不遇の時代に蓄えられたエネルギーが一気に開花する。1990年代後半から2000年代にかけて、彼は『an・an』や『SPA!』をはじめとするメジャー誌で次々と連載を獲得。人間の滑稽さや切なさを洒脱な文体で描くエッセイ、哀愁漂う独特のイラストで、瞬く間に読者の心を掴んだ。
さらに、彼の存在感を決定づけたのがラジオメディアだ。深夜番組のパーソナリティとして語る彼の声は、多くの若者にとって暗闇の中の灯火となった。過激な下ネタから繊細な人生相談、高尚な美術論まで、どんな話題も独特の柔らかなトーンで受け止める。その包容力と底知れない知性が、彼を単なるイラストレーターから「サブカルチャー界のカリスマ」へと押し上げた。
当時の彼は長髪に無精ヒゲ、アンニュイな古着を纏ったスタイルでメディアに露出。決して自らトレンドを追わず、時代の中心にありながらどこか斜に構えたスタンスが、同世代のクリエイターや若者を惹きつけて離さなかった。