1982年に白銅貨として登場した初代500円硬貨以来、外形寸法である「直径26.5ミリ」という基本数値は一度も変更されていない。2000年のニッケル黄銅貨(2代目)、そして2021年11月に発行が始まった現行のバイカラー・クラッド貨(3代目)に至るまで、この直径だけは厳格に受け継がれてきた。
理由の一端は社会インフラの互換性にある。仮に直径を僅かでも変えてしまえば、全国に数百万台規模で存在する決済用識別機や選別用ガイドレールをすべて一から作り直す羽目になる。直径を変えずに偽造抵抗力を高める——この極限の制約条件こそが、日本の造幣技術を世界トップレベルへと押し上げる原動力となった。