みたらし団子のルーツを辿ると、京都の下鴨神社(賀茂御祖神社)へと行き着く。境内の「御手洗(みたらし)の池」に湧き出た水の泡を象って作られたのがその始まりとされ、室町時代にはすでに神事の供え物として記録に残されている。この由緒ある甘味を今に伝えるのが、門前に店を構える「加茂みたらし茶屋」だ。串に刺さった五つの団子のうち、先頭の一つだけが少し離れて刺されている独特の姿は、人間の頭と四肢、すなわち五体を表し、無病息災を祈願したものだという。
日本伝統菓子としての格式を持ちながら、庶民の日常食へと広がった背景には、醤油と砂糖という普遍的な調味料の普及があった。製菓・和菓子業界の歴史においても、これほどシンプルでありながら地域ごとの個性を色濃く反映した菓子は珍しい。東京下町の醤油が立った焼き団子とも異なり、京都のそれは黒砂糖のコクと生醤油のキレが調和した葛餡をたっぷりと纏う。時代を超えて愛される理由は、この計算され尽くした味のコントラストにある。