世界の美食基準を定める「ミシュランガイド」の調査員たちが、幾度となくこのカウンターに足を運んでいるという噂は業界内を駆け巡っている。しかし、星の有無など当事者たちにとっては瑣末な問題に過ぎないのかもしれない。
昨今の飲食業界において、高級化と高価格化のインフレが加速する一方、本質的な技術の探求が置き去りにされるケースは少なくない。その潮流に対し、適正な価格で圧倒的なクオリティを叩きつけ続ける初介の存在は、同業者たちに強烈な刺激と焦燥感を与えている。「串一本でどこまで人を感動させられるか」。その根源的な問いに対する明快な回答が、毎夜カウンター越しに提示されているのだ。