下関は、古くから大陸との玄関口として独特の異国情緒と哀愁を漂わせてきた。佐々部清監督の名作映画『チルソクの夏』で描かれた、関釜連絡船が結ぶ国境の街の切ない情景は、今もこの海峡沿いの街並みに静かに息づいている。日没後に駅の北側に広がるグリーンモールへ足を伸ばせば、本場の韓国料理店から立ち上る香ばしい煙と行き交う人々の活気が、旅の夜を濃厚に染め上げていく。
機能的なビジネスホテルを拠点にしつつ、一歩外へ踏み出せば昭和の風情と港町の熱気が混ざり合う。このコントラストをダイレクトに体験できることこそ、ここに泊まる醍醐味にほかならない。