最高血圧が正常であっても、最低血圧が恒常的に高い状態は血管にとって過酷極まりない。心臓が休んでいるはずの間も、血管の内壁には常に高い圧力がかかり続けているからだ。この持続的な負荷こそが血管の内皮細胞を傷つけ、静かに、しかし確実に動脈硬化を進行させる。
最新の高血圧治療ガイドラインの知見でも、拡張期血圧の上昇は細小動脈の弾力性低下を反映する初期指標として位置づけられている。太い大動脈が硬くなる前の段階で、末梢の毛細血管レベルで硬化が始まっているサインなのだ。自覚症状が一切ないからといって放置すれば、血管のしなやかさは失われ、やがて上の血圧も巻き込んだ重度の高血圧へと移行していく。