鳥類は本能的に「体調不良を隠す」生き物だ。捕食者に狙われないよう、死の直前まで羽を整え、餌箱の前で食べているふりをする。飼い主が「なんとなく元気がない」と気付いた時点で、病態はすでに末期まで進行していることも珍しくない。止まり木の底にうずくまる、羽を膨らませて目を細めるといった仕草は、もはや初期症状ではなく深刻なエマージェンシーサインだ。
真の初期症状を捉える唯一の手段は、0.1グラム単位で測れるデジタルトランススケールを用いた「毎朝の体重測定」にある。前日比で2グラム減っていれば、体重35グラム前後のセキセイインコにとっては体重の5%以上を失った計算になる。これは人間に換算すれば数日で数キロ激減するに等しい異変だ。便の水分量や色、未消化の種子が混ざっていないかといった日々の観察こそが、隠された病巣をあぶり出す最強の診断装置となる。