改造されたパームは、敵対勢力としてキルアの前に立ち塞がります。冷徹な殺意を宿し、「暗黒の鬼婦神」の暴力でキルアを追い詰めるパーム。しかし、キルアは彼女を敵として排除することを選びませんでした。
当時、キルア自身もまた、カイトの死を知って自己破壊的な衝動に突き進むゴンを救えず、精神的に限界まで追い詰められていました。パームの苛烈な連打を受け止めながら、キルアは感情を決壊させ、涙を流しながらこう叫びます。
「ゴンには……お前が必要なんだ……! オレじゃ……ダメなんだ……!」
友を救えない自責の念、自分ではゴンの光になれないという絶望、そして仲間を取り戻したいという純粋な願い。その慟哭を浴びた瞬間、プフによる精神支配に亀裂が走ります。パームの脳裏に蘇ったのは、ゴンと交わした他愛のない会話や、自分をひとりの人間として受け止めてくれた温もりでした。
パームの瞳から零れ落ちた涙は、蟻としての本能を完全に打ち砕きました。「誰よりもゴンを大切に想う人間」としての自我がプフの催眠を上回り、彼女は自らの意思で討伐軍へと帰還したのです。このシーンは、キメラアント編における屈指の感涙エピソードとして、読者の間で不朽の評価を獲得しています。