田代まさしという表現者を語る上で、絶対に避けて通れない存在が、盟友・鈴木雅之氏と、師匠であり恩人でもあった故・志村けんさんです。
1980年、シャネルズ(後のラッツ&スター)として『ランナウェイ』でメジャーデビューを飾り、ミリオンセラーを記録した仲間たち。リーダーの鈴木雅之氏とは高校時代からの深い絆で結ばれていました。しかし、繰り返された逮捕劇によって、グループとしての活動は完全に凍結されることになります。報道各社のインタビューや関係者の証言によると、鈴木氏は田代氏に対して突き放すような怒りを見せる一方で、「あいつが生きて、更生してくれることだけを願っている」と陰ながら案じ続けてきたといいます。2026年現在も公式な合同ステージは実現していませんが、互いを意識し続ける距離感には、言葉以上の重みがあります。
そして、最も田代氏の心に深い爪痕を残しているのが、2020年3月に急逝した志村けんさんの存在です。かつて『志村けんのだいじょうぶだぁ』などでゴールデンコンビを組み、最初の不祥事の際にも最後まで復帰を信じて手を差し伸べてくれたのが志村さんでした。しかし、その恩義を裏切る形で再逮捕を繰り返した末、田代氏は服役中に志村さんの訃報を耳にすることになります。
当時の手記や出所後のインタビューで、田代氏は「志村さんに直接謝ることができなかった。合わせる顔がないまま逝かせてしまった」と激しい後悔の念を吐露しています。現在も志村さんの月命日やお盆の時期には静かに手を合わせ、自らのチャンネルでも志村さんへの感謝を語り続けています。「天国の志村さんをこれ以上悲しませないこと」こそが、現在の田代氏が薬物の誘惑を断ち切るための最大の精神的支柱となっているのです。