あれほど世間を賑わせたプロモーションが、なぜ継続されずに姿を消したのでしょうか。関係者の動向や航空業界の環境推移から分析すると、旅くじ終了の真相には3つの構造的理由が存在します。
第一に、航空需要の回復と座席利用率の上昇です。旅くじが誕生した2021年秋は、渡航制限により航空各社が深刻な旅客減少に喘いでいた時期でした。当時のPeachにとって、空気を運ぶくらいなら5,000円でもキャッシュを回収し、話題性を作って将来の搭乗客を掘り起こす必要がありました。しかし、水際対策の撤廃とインバウンドの劇的な回復以降、国内線・国際線ともに搭乗率は高水準を維持しており、採算を度外視してまでカプセルで空席を埋める経済的合理性が消失したのです。
第二に、ポイント失効をめぐるカスタマーサポートへの負荷です。前述の通り、有効期限切れによる救済要請や「希望日に安く取れない」といったユーザーからの苦情は少なくありませんでした。Peachの運賃約款上、ポイントの有効期間延長は一切認められておらず、体験格差によるブランド毀損リスクを慎重に見極めた結果、定常化を見送ったとみられます。
気になる旅くじ復活の可能性ですが、現時点でピーチ再開公式発表は行われていません。広報発表のニュアンスを総合すると、恒常的な販売装置としての復活は極めて望み薄です。ただし、新路線の開設記念や周年アニバーサリーの節目において、数日限定のポップアップイベントやデジタルタイアップ企画として限定復活する余地は十分に残されています。