私たちが日常で口にする抹茶製品を正しく理解するためには、まず本来の抹茶の定義と製造工程を把握しておく必要があります。
日本農林規格(JAS)や茶業界の定義において、抹茶とは「覆い下栽培(直射日光を遮って育てた茶葉)で育てた生葉を蒸し、揉まずに乾燥させた『碾茶(てんちゃ)』を石臼などで微粉末状に挽いたもの」と厳格に定められています。
日光を遮ることでアミノ酸(テアニン)の生成が促され、渋みが抑えられた豊かな旨味と鮮やかな濃緑色が生まれます。つまり、本物の抹茶の原材料表示は「緑茶(国産)」や「抹茶」のみであり、添加物の入り込む余地はありません。
一方で、菓子パンや大衆向けの低価格アイス、シロップなどでは、熱や光に弱い抹茶の退色を防ぎ、コストを抑える目的で緑色着色料や香料を併用した「抹茶風味」の製品が多く流通しています。消費者が混乱する根源は、この「本物の抹茶」と「着色料で補正された加工品」の境界線が曖昧なまま議論されている点にあります。