平成25年(2013年)を振り返る上で外せないのが、国家的な威信と誇りを懸けた国際プロジェクトの成就です。東日本大震災から2年が経過し、傷の癒えない日本社会に希望の光をもたらした出来事が立て続けに起こりました。
文化面における白眉は、2013年6月22日、第37回世界遺産委員会(カンボジア・プノンペン)において「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」が世界文化遺産に登録されたことです。しかし、この栄誉は決して平坦な道のりではありませんでした。
諮問機関であるイコモス(国際記念物遺跡会議)は同年4月末、富士山本体の登録を勧告する一方で、山頂から約45キロメートル離れた静岡県の景勝地「三保松原(みほのまつばら)」について、海岸保全の消波ブロック(テトラポッド)や松枯れ対策の人工性を問題視し、「構成資産からの除外」を勧告していました。歌川広重の浮世絵をはじめとする文化的連関を証明したい日本政府代表団は、現地プノンペンで各国代表への個別説得という執念の外交戦を展開。近藤誠一文化庁長官(当時)自らが登壇し、「三保松原なくして富士山の芸術的価値は完結しない」と熱弁を振るいました。その結果、全会一致に近い形で勧告を覆し、三保松原を含めた奇跡の一括登録を勝ち取ったのです。
そのわずか2カ月半後の2013年9月7日(日本時間8日未明)、アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催された第125次IOC総会にて、2020年夏季オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定しました。滝川クリステル氏が手振りを交えて語りかけた「お・も・て・な・し」のスピーチは世界中の心を捉え、ライバル都市であったイスタンブールとマドリードを大差で退けました。
スポーツ界では、東北楽天ゴールデンイーグルスが球団創設9年目で悲願のパ・リーグ初優勝、そして日本一を達成しました。田中将大投手がシーズン24勝0敗1セーブという前人未到のギネス記録を打ち立て、最終第7戦の9回裏、スタジアムに大歓声のファンモン「あとひとつ」が鳴り響く中でマウンドに登った光景は、被災地東北のみならず日本全国の涙を誘いました。