インターネット上のレビューやSNSで頻繁に交わされる「岡山で本物の豚骨醤油を食べるなら『いもお』一択」という声の真相を探るべく厨房のオペレーションと丼の構成を注視すると、奇をてらわない実直な職人技が浮かび上がります。岡山市南区箕島という、決して駅至近とは言えない立地でありながら客足が途絶えない最大の理由は、ひと口で記憶に刻まれる圧倒的なスープの完成度にあります。
スープのベースは、豚骨をじっくりと煮出して旨味を抽出した白湯に、地元醤油蔵の上質な醤油ダレを合わせたクラシカルな岡山スタイルです。しかし、一般的なラーメンと一線を画すのがその「まろやかさ」と「奥深い甘み」です。表面には適度な脂の層が浮き、熱を閉じ込めながらも、豚骨特有の嫌な臭みは徹底的に取り除かれています。最後の一滴まで飲み干したくなる調和の妙は、長年の継ぎ足しと丁寧なアク取りの賜物と言えます。
さらに、屋号の代名詞とも言えるのが「チャーシュー」の存在感です。提供直前にスープの熱でとろけるように計算されたバラ肉は、厚み、脂身と赤身の比率、タレの染み込み具合に至るまで極めて精緻にコントロールされています。並盛の中華そばであっても大ぶりな肉が惜しげもなく盛られ、チャーシューメンを注文した際には丼一面が肉の花びらで覆い尽くされる圧巻のビジュアルを誇ります。この一杯に対する誠実な原価の掛け方こそが、長年愛される絶対的な理由です。