事態が急転したのは、2024年4月1日夜のことでした。韓国のJTBC時事報道番組『事件班長』が、「人気ドラマで悪役を演じた有名女優S氏から、高校時代に凄惨な校内暴力を受けた」とする情報提供者の告白を大々的に報じました。証言によれば、2004年8月の高校2年生当時、情報提供者は呼び出された近隣の公園で理由も知らされぬまま90分間にわたり平手打ちを受け続けたと主張。さらに、情報提供者は男子生徒でありながら「S氏の当時の交際相手が校内の不良グループのリーダーだったため抵抗できなかった」と生々しいディテールを語ったのです。
報道直後、ネット特定班によってS氏がソン・ハユンであることが瞬く間に突き止められました。所属事務所であるキングコングbyスターシップは即座に声明を発表し、「情報提供者とは一切の面識がなく、暴力の事実も完全に事実無根である」と疑惑を全面否定。民事・刑事上の法的措置を辞さない強硬姿勢を示しました。
しかし、火に油を注ぐ形となったのが、その後の追加取材による事務所側の説明の変化でした。複数の報道機関が追及を続けた結果、彼女が盤浦高校から中東高校を経て狎鴎亭高校へと短期間で転校を繰り返していた過去が発覚。これに対し事務所側は、「過去に校内暴力事件に関与して強制転校処分(韓国の校内暴力予防法に基づく第8号処分)を受けたことは事実である」と認めざるを得なくなったのです。ただし事務所は「その強制転校は今回の『事件班長』の情報提供者とは全く関係のない別の事案であり、直接的な加害ではなくトラブルへの同調にとどまる」と弁明しました。
この「強制転校は事実だが、告発者とは無関係」という二重構造の釈明は、大衆の不信感を決定的にしました。事前制作を完了していた新作ドラマ『チジルの歴史』はプラットフォームへの編成交渉が完全に凍結され、検討されていた複数の地上波・ケーブル局の新規企画からも事実上の降板・白紙撤回となりました。2026年を迎えた現在も、提起された名誉毀損告訴等の捜査・司法判断は遅航しており、彼女のテレビ復帰への扉は重く閉ざされたままです。