知るの尊敬語「ご存知」は実は失礼?プロが教える正しい敬語と鉄板例文

知るの尊敬語「ご存知」は実は失礼?プロが教える正しい敬語と鉄板例文

知るの尊敬語「ご存知」は実は失礼?プロが教える正しい敬語と鉄板例文について詳しく解説いたします。最新の情報をお届けします。

SNSやビジネス掲示板(知恵袋やオープンコミュニティ)を覗くと、敬語の間違いやすい表現に関する切実な相談が毎日のように書き込まれています。特にリモートワークとチャットツール(Slack、Microsoft Teamsなど)が標準化したビジネス現場では、対面のような表情や声のトーンによる補正が効かないため、文面のわずかな違和感が致命的な悪印象に直結します。

大手総合商社の社内研修担当者は、次のように現場の実態を打ち明けています。

「『〇〇の件、ご存知になられましたか?』といった過剰な敬語表現や、逆に『〇〇部長は存じておられますか?』という謙譲語の混同が、社内チャットで非常に目立ちます。敬語を使おうとする熱意が空回りして、敬意の方向がねじれてしまうのです」(商社・人材開発部シニアマネージャー)

代表的な誤用パターンとして、以下の3つは直ちに修正すべき典型例です。

  • 誤:「〇〇の仕様変更について、存じていらっしゃいますか?」
    → 「存ずる」は謙譲語。相手の動作に謙譲語を当てはめ、さらに「いらっしゃる」をつなげた破綻した表現。正しくは「ご存知でしょうか」または「お知りおきいただいておりますでしょうか」。
  • 誤:「その件は、私もすでにご存知です」
    → 自分に対して尊敬語である「ご存知」を適用している明確な誤用。正しくは「存じております」または「承知しております」。
  • 誤:「ご存知になられましたでしょうか?」
    → 「ご〜になる」に「なられる(れる・られる)」を重ねた二重敬語。敬意を盛りすぎてかえって慇懃無礼に聞こえるため、「お知りになりましたでしょうか」または「ご存知でしたでしょうか」が適切。

また、表記における「ご存知」と「ご存じ」の揺れについても知っておく必要があります。「知」を「じ」と読むのは常用漢字表の訓令外(当て字)であるため、新聞・出版業界や公用文規則ではひらがな表記の「ご存じ」が統一基準となっています。ビジネスメールでは漢字表記の「ご存知」も広く受容されていますが、公的な文書や厳密なプレスリリースを作成する際は「ご存じ」を選択するのがより安全な基準です。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。