ネット上のまとめ記事やSNSでは、未だに「早朝にブルーシートを敷けば無料で特等席」「河川敷の土手沿いは誰でも入れる」といった旧態依然とした情報が散見されます。しかし、これらの情報を鵜呑みにして現地へ向かうと、手痛いしっぺ返しを食らうことになります。
現在、警察庁および自治体が主導する群衆事故防止ガイドラインの厳格化により、主要花火大会の会場周辺は「完全有料エリア化」または「通行証なき歩行者の進入禁止措置」が敷かれています。長岡まつり大花火大会では信濃川両岸の主要堤防が完全有料化されており、チケットを持たない人間は堤防の道路に立ち入ることすらできません。大曲の花火や隅田川花火大会でも同様に、警察による徹底した立ち止まり禁止誘導が行われ、スマホを掲げて立ち止まった瞬間に警備員から移動を促されます。
さらに見落とされがちな盲点が、会場周辺の屋台出店情報に関する誤解です。「河川敷にズラリと並ぶ露店で焼きそばを買って花火を待つ」という昭和・平成の原風景は激変しました。多くの大規模大会では、衛生管理・防災対策の観点から露店エリアが「有料観覧ブロック内部」に集約される傾向にあります。加えて決済方法のキャッシュレス完全移行が進んでおり、通信障害で電波が途切れた結果、屋台の列に並んでも購入できないトラブルが多発しています。
気象条件に関するリテラシーもアップデートが必要です。花火大会における最大の敵は雨ではなく「無風」または「風下」です。ネットで雨天中止順延情報を血眼になって追う人が多いですが、小雨決行は常識。問題は風速1m未満の無風状態です。煙が上空に滞留し、中盤以降は発光する巨大なスモークの塊しか見えなくなる現象が発生します。風向きの予測を確認せず、ただ「打ち上げ場所に近いから」と風下の有料席を確保してしまうことこそ、最大の失敗要因です。