ピッツァという料理に対する既成概念は、このフロアへ足を踏み入れた瞬間に根底から覆されます。「The Pizza Bar on 38th」が世界的な名声を決定づけたのは、イタリアの権威ある審査機関が発表する50 Top Pizza 世界ランキングにおける歴史的な快挙でした。並み居る本場ナポリやニューヨークの名店を抑え、アジア太平洋部門の頂点を連続制覇し、世界総合ランキングでもトップ集団の常連として君臨しています。
この世界最高峰の評価を現場で牽引するのが、エグゼクティブシェフのダニエレ・カーソン シェフです。彼が構築したピッツァ哲学の核心は、徹底した軽さと消化の良さにあります。イタリア産の最高級オーガニック小麦を用い、限界値に近い加水率80%で練り上げた生地を、実に48時間かけて低温発酵させます。高温の専用オーブンで一気に焼き上げられたクラストは、外側が微細なガラス細工のようにサクッと砕け、内側は空気の層をたっぷりと含んで驚くほど軽やかです。
取材陣に対してシェフがかつて「ピッツァを食べ終えた後、胃にもたれる感覚を完全に排除したかった」と語った通り、従来のファストフード的な重さは微塵もありません。さらに特筆すべきは、日本の伝統的なカウンターカルチャーである「江戸前鮨のおまかせ様式」をイタリア料理に融合させた点です。ピッツァ職人が目の前で生地を伸ばし、トッピングを施し、窯から取り出した熱々の1ピースを、ゲストがもっとも美味しい焼き立ての瞬間に手渡しで提供する。この臨場感とスピード感こそが、世界中のフーディーを熱狂させる理由です。