インターネット上の質問掲示板やSNS上を分析すると、「発熱していないのに咳と鼻水が止まらない」という投稿には、ある共通したパターンが見受けられます。それは、「解熱鎮痛剤を飲まなくても動けるから」と通常通り通勤・登校を続け、結果として症状を数カ月単位で長引かせてしまうという落とし穴です。
都内の呼吸器内科クリニックに勤務する専門医は、取材に対して次のように現場の実態を明かします。
「外来を訪れる患者さんの約4割が、『風邪のひき始めだと思って市販の総合感冒薬を10日以上飲み続けていたが一向に良くならない』と訴えます。詳しく問診と喉の視診を行うと、鼻の奥から咽頭後壁へドロッとした鼻汁が絶え間なく垂れ落ちる後鼻漏(こうびろう)が確認され、咽頭粘膜が真っ赤にただれているケースが非常に目立ちます。患者さん自身は喉の病気だと思い込んでいますが、根源は副鼻腔に溜まった膿なのです。喉の炎症を抑えるトローチを舐めても、原因である鼻の病巣を叩かなければ咳も喉の違和感も消失しません」
SNS上でも、「平熱だったため油断して会議に出席したら、数日後に同僚がコロナで倒れ、後から自分が軽症感染源だったと判明した」「ただの乾燥だと思っていた咳が夜間に発作的になり、呼吸器内科で検査を受けたら咳喘息と診断された」といった告白が散見されます。体温という単一の指標に依存した自己判断が、周囲への感染拡大や自身の気道リモデリング(気管支粘膜の不可逆的な肥厚・慢性化)を招いている実態が浮き彫りになっています。