ベトナム語の辞書やベトナム版Wikipediaの記述を紐解くと、「cửa hàng đồ cũ」という業態の起源は、1920年にジャーナリストで画家のマルグリット・マーティン(Marguerite Martyn)が米国セントルイスの古物市場を描写したスケッチにまで遡るとされています。ベトナム現地では、ホーチミン市の老舗リユース倉庫「Phong Hải」のように10年以上の歴史を持つ什器・家具の清算拠点や、旅行・ライフスタイルメディア「MIA」が特集する「サイゴンの7大古物市場(chợ đồ cũ Sài Gòn)」に代表されるように、電子部品や衣料品、飲食店什器の余剰品を街ぐるみで循環させる活発な市場文化が根付いています。
そうした文化を背景に持つ在日ベトナム人にとって、日本各地に整然と展開されているリユースショップは驚くべき存在でした。在日ベトナム人向け大手海外送金サービス「Smiles Mobile Remittance」が公開した情報誌「TOP 10 CỬA HÀNG ĐỒ CŨ NHẬT BẢN(日本のリサイクルショップ上位10選)」のデータによると、留学生や技能実習生、IT技術者として来日した人々の約8割が、入国直後の初期費用を抑えるために日本国内の中古ショップを活用しています。
彼らが絶賛するのは、「価格の安さに対して商品の清掃状態と動作保証が極めて厳格である点」です。母国のフリマ市場のような値引き交渉の手間がなく、型番や年式が明確に管理されている日本の店舗システムは、異国の地で生活基盤を整える外国人にとって絶大な安心感をもたらしています。これが、Facebookの在日ベトナム人グループやTikTokのコミュニティを通じて熱心に拡散され、独自の口コミネットワークを形成する原動力となっています。