圧力鍋炊飯には絶賛の声が多い一方で、構造上の明確な弱点や運用上のデメリットも存在します。ネット上の礼賛記事が見落としがちな現実を直視しておく必要があります。
第一の盲点は「保温機能が一切存在しない」点です(一部の電気圧力鍋を除く)。炊き上がったご飯を鍋の中に数時間放置すると、密閉環境によって結露した水滴がフタの裏から大量に滴り落ち、上層部のご飯がベチャベチャにふやけてしまいます。さらに、鍋自体の保温性が高いために40〜50℃前後の菌が繁殖しやすい温度帯が長く続き、腐敗のリスクも高まります。炊き上がったら15分以内に食べる分以外をタッパーやラップへ小分けし、粗熱を取って冷凍庫へ移すのが絶対条件です。
第二に、「ゴムパッキンへの匂い移り」です。前日にカレーや角煮、ニンニクを効かせた煮込み料理を作った圧力鍋でそのままご飯を炊くと、パッキンに染み付いたスパイス香が白米へ完全に転移します。銀シャリ本来の清らかな香りを楽しむためには、炊飯専用の替えパッキンを用意するか、使用後にパッキンを重曹水で煮沸脱臭するメンテナンスが欠かせません。