多くの入門者が疑問を抱く「前半と後半でなぜここまで難易度が変わるのか」という問いに対する答えは、楽曲の調性(キー)の変化と左手の運動力学にあります。 前半は哀感に満ちたホ短調(Eマイナー)で進行します。このセクションでは、伴奏のベース音(低音弦)に6弦や5弦、4弦の開放弦をふんだんに利用できるため、左手は主旋律を奏でる高音部(主に1弦・2弦)の単音移動に集中できます。ハイポジションへの跳躍はあるものの、指を大きく開くストレッチや長時間の固定はほとんど要求されません。 対して後半は、光が差し込むようなホ長調(Eメジャー)へと劇的な転調を遂げます。調号にはシャープ(♯)が4つ(ファ・ド・ソ・レ)付き、音階を成立させるためにギターの指板上では人差し指1本で複数弦を同時に押さえ続ける「セーハ(バレーコード)」の連続を強いられます。 具体的には、第1フレットの半セーハから始まり、第9フレットでのセーハ、第7フレットでの大セーハ(1弦から6弦まですべて押さえるフルバレー)をキープしたまま、薬指や小指を独立させて高音フレットへ伸ばす過酷な運指が登場します。前半と後半の力学的負荷の落差は、以下の比較表を見れば一目瞭然です。
このように、後半パートはギターの構造的制約と人体の骨格の限界に真っ向から挑む形になるため、基礎的なセーハ技術と脱力法を身につけていない入門者を容赦なく弾き飛ばしてしまうのです。