大手レシピサービスやSNS、生活情報コミュニティの投稿を追跡調査すると、かつては「手抜き料理」とみなされかねなかった丸ごと調理が、今や「賢い自炊の到達点」として称賛されるパラダイムシフトが起きています。
noteに投稿され共感を呼んだあるエッセイでは、毎日のようにピーマンを縦に割り、スプーンで種をえぐり取ってはシンクに散らばる粒を掃除していた日々の窮屈さを振り返り、「ピーマンを種ごと食べるようになってから、長年無意識に縛られていた『料理の当たり前』から解放され、家事が圧倒的に楽になった」という生々しい生活実感が綴られていました。食品市場で一大トレンドとなった「タイパ(時短×高満足)」の文脈においても、野菜を刻まずそのままフライパンへ投入できる手軽さは、多忙な現代人の自炊ハードルを劇的に引き下げています。
さらに、実利的な料理の仕上がりにおいても種を残すメリットは絶大です。知恵袋等のコミュニティで特に主婦層から熱烈に支持されているのが、「ピーマンの肉詰め」を種ごと調理する裏ワザです。
一般的なピーマンの肉詰めは、内側のツルツルした内壁から肉だねが加熱中に剥がれ落ちてしまう失敗が多発します。打ち粉(小麦粉)をしっかり振るなどの対策が必要でしたが、半分に切ったピーマンの種とワタをあえて残したまま挽き肉を押し込むと、種とワタが天然のスパイクおよび緩衝材となり、肉だねがガッチリと密着して絶対に剥がれなくなります。さらに、加熱によって肉から滲み出た旨味たっぷりの肉汁をワタがスポンジのように吸収するため、肉だねはパサつかずジューシーに、ピーマン自体も極上の出汁を吸い込んで別次元の美味しさに仕上がります。