「自分は扶養のままでいたいので、社会保険の加入手続きを拒否します」という主張は通用するのでしょうか。結論から言えば、パート社会保険加入条件に合致している場合、労働者本人の意思や合意の有無にかかわらず、法律上、加入を拒否することは一切できません。
健康保険法および厚生年金保険法において、被保険者資格の取得は「強制適用」と規定されています。これは労働者側の自由意志で加入・不加入を選べる任意制度ではなく、要件を満たした瞬間に自動的に資格が発生する性質のものです。そのため、従業員が「サインを拒む」「誓約書の提出を断る」といった抵抗を試みても、雇用主は法的に加入手続きを強行せざるを得ません。
もし事業主が従業員の「加入したくない」という懇願に屈し、加入手続きを怠った場合、社会保険加入逃れの罰則が容赦なく適用されます。年金事務所の立入調査(総合調査)で発覚した場合、企業側には過去最大2年間に遡って社会保険料の全額納付が命じられます。さらに、悪質な未加入隠しと認定されれば、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金(健康保険法第208条、厚生年金保険法第102条)という刑事罰の対象にもなり得ます。遡及徴収された保険料のうち労働者負担分は本人へ一括請求されるケースが大半であり、後から数十万円単位の追徴金を突きつけられるという悲劇も現実に起きています。