帯状疱疹は人にうつる?家族や赤ちゃんを守る感染経路と最新の予防策

帯状疱疹は人にうつる?家族や赤ちゃんを守る感染経路と最新の予防策

帯状疱疹は人にうつる?家族や赤ちゃんを守る感染経路と最新の予防策について押さえておきたい 注意点を厳選して解説いたします。

SNSや医療相談プラットフォームを調査すると、「生後3ヶ月の我が子がいるのに夫が帯状疱疹になった」「妊娠初期の妻にうつらないか生きた心地がしない」といった切痛な告白が数多く寄せられています。厚生労働省や国立感染症研究所の知見を踏まえ、高リスク群への影響を整理します。

最も厳戒態勢を敷くべき対象は、定期接種の対象年齢(生後12ヶ月以上)に達していない乳幼児です。乳児は水痘に対する免疫を持っていません。もし帯状疱疹患者の患部に触れて感染した場合、水ぼうそうを発症し、高熱や全身の水疱、稀に脳炎や肺炎といった重症合併症を引き起こす危険性があります。家庭内に未接種の乳児がいる場合、発症者は患部を滅菌ガーゼや被覆材で完全に覆い、服の上からも絶対に触れさせない物理的バウンダリーを構築しなければなりません。抱っこやスキンシップは、患部がかさぶた化するまで控えるのが賢明です。

次に深刻な懸念を抱えるのが妊婦への影響です。日本人女性の95%以上はすでに小児期に水ぼうそうに罹患しているかワクチンを接種しているため、過度に恐れる必要はありません。しかし、万が一「妊婦自身に水痘の抗体がない」状態でウイルスに感染した場合、事態は一変します。

妊娠初期から中期(特に妊娠8週〜20週頃)に妊婦が水ぼうそうに初感染すると、胎児に網膜炎、小頭症、四肢低形成などを引き起こす「先天性水痘症候群」のリスクが数%生じます。さらに分娩直前(分娩前5日〜産後2日)の感染は、生まれた新生児が母体からの移行抗体を持たないまま重症水痘を発症する「新生児水痘」を招き、致命率は30%近くに達すると報告されています。妻が妊娠中で抗体保有状況が不明な場合、直ちに産婦人科主治医に相談し、抗体検査や必要に応じた免疫グロブリン製剤の投与検討を行う必要があります。感染後の水痘帯状疱疹ウイルスの潜伏期間は約10日〜21日(平均14日前後)であり、接触後すぐに症状が出ない点にも注意を払わなければなりません。

一方で、社会生活における「仕事は休むべきか」という現実問題についてはどうでしょうか。厚生労働省のガイドラインや労働安全衛生の基準において、帯状疱疹自体は学校保健安全法で一律の出席停止が定められている水ぼうそうとは異なり、一律の就業制限規定はありません。

現場における実質的な休業基準は、「病変部を衣服で完全に隠せるかどうか」と「職種」で判断されます。患部が腹部や背中にあり、衣服で覆われていて他者との接触がない一般的なデスクワークであれば、全身倦怠感や激痛がない限り出勤は可能です。ただし、「新生児や小児と接する保育士・小児科医」「免疫不全患者を扱う医療従事者」「妊婦と近接する職種」に従事している場合は、水ぶくれが完全に乾くまで業務から外れる、あるいは特別休暇を取得することが医療安全上のスタンダードとなっています。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。