庭植えヤシの最高峰として圧倒的な支持を誇るのがココスヤシです。販売店では「マイナス7℃でも平気」「雪が降っても枯れない」といった宣伝文句が躍りますが、植栽の現場取材を通じて見えてきたココスヤシ耐寒性の真相は、数字通りの単純なものではありません。
造園技師らの実務データによれば、成木となって根が完全に活着した株であれば、一時的なマイナス7℃〜マイナス8℃の寒波を耐え抜くことは十分に可能です。しかし、植え付けから2年未満の「未活着株」や、幹の直径が細い若木の場合、マイナス3℃前後の冷え込みであっても中心部の成長点(新芽を出すコア部分)に水分が溜まり、それが凍結・腐敗して春先に芯から抜け落ちて枯死する事故が頻発しています。寒風が吹きさらしになる北側の庭や、霜が降りやすい窪地では、数値以上の防寒対策(冬季の葉の結束や成長点への養生)が欠かせません。
導入を検討する上で見落としてはならないのが、ココスヤシ値段相場と維持費の冷徹な試算です。現在、庭の主役となる幹高1.5m〜2mクラスの健全な株を購入する場合、木そのものの代金として約15万〜25万円が相場となっています。さらに、重量が数百キロに達するためユニック車(クレーン付きトラック)の出動費用や専門職人による植樹工賃が上乗せされ、初期費用は総額で30万〜45万円前後に達します。
維持費に関しても、年に1〜2回の下葉の剪定をプロに依頼すれば1回あたり1万5,000円〜3万円、処分費も含めれば年間維持費は数万円単位で積み上がります。「植えれば手がかからない」というセールストークを鵜呑みにせず、中長期的なランニングコストを維持できるかどうかの資金計画が求められます。