かつてロードサイドで派手な看板を掲げていた虎と龍が、なぜこれほどまでに店舗数を減らしたのか。外食産業の動向と関係者の証言を突き合わせると、単一の経営破綻ではなく複合的な構造要因が浮かび上がってきます。
第一の要因は、フランチャイズ(FC)主導による急激な店舗網拡大の反動です。虎と龍は独自の仕込みノウハウを武器に加盟店を増やしましたが、急拡大に伴い店舗ごとの接客品質やスープの仕上がり、清掃状態などに個体差が生じ始めました。味のブレやサービスのムラはブランド全体の求心力を削ぎ、契約満了に伴う離脱や閉店が相次ぐ引き金となったのです。
第二の要因として、豚骨ラーメン特有の高コスト・重労働オペレーションが挙げられます。公式のメニュー案内にもある通り、虎と龍の真骨頂は「自社規格をクリアした国産豚骨を職人が20時間以上炊き上げる純正とんこつスープ」にあります。この製法は極めて高いガス代と骨の仕入れコスト、そして何より長時間の職人労力を要します。昨今のエネルギー価格急騰、豚骨原料の高騰、そして飲食業界全体を覆う深刻な人手不足が、各オーナーの採算ラインを厳しく圧迫しました。
第三に、関西豚骨ラーメン市場における競合激化があります。兵庫・大阪エリアでは「ずんどう屋」の全国的猛攻や「無鉄砲」をはじめとする濃厚豚骨専門店、さらには全国展開する「一風堂」「一蘭」のブランド力が強固です。加えて鶏白湯や煮干し、淡麗系醤油といったトレンドの移り変わりの中で、虎と龍は不採算拠点を清算し、強みを発揮できる立地への集約を余儀なくされたのが実情です。