歓楽街の路上を歩いていて声をかけてくる「客引き(キャッチ)」と、路面に店舗を構える「無料案内所」を混同している人は少なくありません。しかし、この両者には法律上・運用上の決定的な境界線が存在します。
路上を徘徊しながら「お兄さん、いい店あるよ」「安くしておくよ」と通行人の前を遮ったり追随したりする客引き行為は、各都道府県の「迷惑防止条例」や「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」によって全国的に厳しく禁止されています。客引きが紹介する店舗の多くは、無許可営業のガールズバーや悪質なぼったくり居酒屋であり、後から法外な席料やサービス料を請求されるトラブルの温床となっています。
一方で、正規の無料案内所は、各自治体の「風俗案内所規制条例」などに基づき、公安委員会への届出や設置基準(学校や図書館などの保護対象施設からの距離制限、内部を見通せる構造基準など)を遵守して運営されている固定店舗です。条例に則って店内に留まり、入店してきた客に対してパンフレットやタブレットを用いて説明を行う分には、法的な違法性はありません。
ただし、境界線が曖昧になる危険なポイントがあります。それは、「案内所のスタッフが店舗の外に出て通行人に声をかけた瞬間、違法な客引きになる」という点です。近年、店舗型の体裁を取りながら、実際にはスタッフを路上に立たせて集客させる悪質な業態が後を絶たず、治安当局との間で激しい攻防が続いています。