実写映像にとどまらず、ヤクザのスーツ美学を世界的なカルチャーとして定着させた立役者として、ゲーム開発集団「龍が如くスタジオ」の存在を忘れることはできない。同スタジオが長年にわたり手掛ける大ヒットゲームシリーズでは、CG技術の進化とともに、登場人物たちが纏うスーツの「質感」と「意味」が極めて高い精度で表現されている。
主人公たちのキャラクター性を象徴する赤のシャツに白いスーツ、あるいは蛇柄のジャケットや漆黒の3ピース。龍が如くスタジオは、キャラクターの生き様や誇り、時には悲哀までも衣服の仕立てやシワ、生地のなびき方に投影させている。3Dモデルのテクスチャ表現にとどまらず、生地の重量感やボタンの掛け方、襟の立ち具合に至るまで徹底された細部へのこだわりが、デジタル空間の中に「触感を持った衣服美学」を立ち上げているのだ。