郊外型の巨大ショッピングモールに併設されたシネコンが全国を席巻する中、帯広の動きは異端だ。かつて街の娯楽を支えた古い映画館の跡地や、リノベーションされた倉庫が、次々とインディーズ映画の発信基地へと生まれ変わっている。観客が求めているのは、どこでも見られるハリウッドの超大作ではない。ここでしか出会えない、作り手の体温が伝わるようなドキュメンタリーや、アジアのインディーズ作品だ。
「配信でいつでも映画が見られる時代だからこそ、わざわざ足を運ぶ価値が必要だった」と語るのは、地元の上映団体を主宰する30代の女性だ。彼女たちの仕掛けはシンプルだが強力だった。上映作品のセレクションに徹底的にこだわり、時には監督をリモートで繋いでトークショーを行う。この泥臭いまでの熱量が、スマホの画面に飽きた若者たちの琴線に触れたのだ。