誰かのためにチョコを買う時代から、自分のために特別な一箱を選ぶ時代へ。伊勢丹や阪急などのバレンタイン催事場では、1箱5,000円を超える海外トップショコラティエの作品が連日即完売を記録している。その購買層の中心は、異性へのアプローチを目的としない、自分への投資や「ご褒美消費」を楽しむ人々だ。
さらに、ここ数年で完全に定着したのが「推しチョコ」文化である。アニメのキャラクターやアイドル、あるいは歴史上の人物など、自分の『推し』を象徴するカラーやモチーフのチョコレートを購入し、SNSに投稿して仲間と祝う。バレンタインは恋愛の成否を賭けるハラハラしたイベントから、自分の「好き」という感情を全力で肯定する平和な祭典へと変貌を遂げた。
他人の評価に依存せず、自分が心地よいと感じる時間を過ごす。この「自愛(セルフケア)」の精神こそが、現代バレンタインの最も力強いトレンドなのだ。