日本時計協会や時計修理専門店への取材データ、SNSや知恵袋等のコミュニティに寄せられる実際の相談事例を検証すると、ユーザーが陥りがちな共通の「落とし穴」が浮き彫りになってきます。
都内大手百貨店の時計サロンに勤務する1級時計修理技能士は、次のように実情を語っています。
「お客様から『急に時間が合わなくなった』とお預かりする時計の約4割は、故障ではなく磁気帯びか、電波時計の基準位置ズレです。特にノートPCのキーボード手前に時計を外して置く習慣がある方や、バッグのマグネット留め具のすぐ隣に時計をしまっている方は、あっという間に5分、10分の狂いを生じさせてしまいます。また、電波時計なのに時間を手動で合わせようとしてボタンを適当に連打し、タイムゾーンがロンドンやニューヨークに切り替わってしまっていたというケースも日常茶飯事です」
ネット上のコミュニティでも、「電波ソーラーなのに1時間ぴったりずれると思ったらサマータイム(DST)設定がONになっていた」「日付を合わせようと夜中にリューズを回したらカレンダーが空回りするようになった」といった悲痛な声が散見されます。機械の不具合を疑う前に、日常の保管環境と直近の操作履歴を冷静に振り返ることが解決への第一歩となります。