一見すると平穏な歴史都市の日常。だが、そこに一枚皮をめくれば、理屈を超えた怪異や秘密結社が蠢いている。それこそが、彼が切り拓いた「奇想文学」の真骨頂と言えるだろう。デビュー作となった『鴨川ホルモー』において、京都大学のサークルを舞台にオニを操って戦う奇想天外な競技を描き、読者の度肝を抜いた衝撃は今なお色あせない。
彼の描く世界観は、突飛なファンタジーでありながら、徹底した現地取材と歴史的文献の読み込みに裏打ちされている。だからこそ、読者は「もしかしたら現実の京都の路地裏でも、本当にこんなことが起きているのではないか」という心地よい錯覚に引き込まれるのだ。