デビュー初期の不朽の名作「時代」から、社会現象を巻き起こした「地上の星」に至るまで、彼女の楽曲には常に「生の苦悩」と「希望」が同居している。一般的なJ-POPの枠組みや、1970年代のフォークソングブームの文脈だけに収まらない独自の世界観は、こうしたバックグラウンドによってさらに強固なものとなった。
音楽業界において、彼女ほど人間の弱さや生老病死のリアリティを多角的に描写できる表現者は稀だ。病や人生の陰影と隣り合わせの医療の視点が、彼女の詞世界に独特の客観性と深い慈愛をもたらしたことは間違いない。言葉の端々に漂う重みは、生と死を日常として見つめてきた家系ならではの産物だ。