時計の針を事件当日へ戻そう。大分県別府市の交差点で信号待ちをしていたバイク2台に、猛スピードの軽乗用車が追突。奇跡的に一命を取り留めた男性がいた一方で、尊い若き大学生の命が奪われた。別府市大学生死亡ひき逃げ事件として世間に大きな衝撃を与えたこの事案は、当初から容疑者の異常な立ち振る舞いが注目されていた。
事故直後、容疑者は現場に車両と靴を置き去りにし、裸足で逃走。防犯カメラに捉えられた最後の姿を境界線として、足取りは唐突に途切れた。初動捜査におけるわずかなタイムラグと、防犯カメラ網の限界。山林への逃避か、あるいは第三者の車両による移動か。あらゆる可能性が検証されたが、現場から直線距離で広がる捜査線は、全国規模の迷宮へと変化していった。