キャリア初期から中期にかけて、インターネット上では時に「器用になんでもこなすバイプレイヤーだが、主役を張る決定打に欠けるのではないか」という穿った見方が囁かれた時期がありました。尖った脇役があまりにハマるため、便利に使われる「器用貧乏」に陥るリスクを懸念する声です。
しかし、この憶測を決定的に覆したのが、スクリーンでの圧倒的な実績でした。映画『ヤクザと家族 The Family』や『劇場版 きのう何食べた?』で第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞したのを皮切りに、2026年公開の映画『月』では重い障がい者施設での凄惨な事件に関わる難役を鬼気迫る覚悟で演じ切り、第47回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を獲得しました。さらに同年の映画『正欲』でも優秀助演男優賞を受賞しています。
映画界の頂点を極めたこの受賞歴は、彼が単なる「面白い脇役」ではなく、人間の深淵に潜む孤独や狂気、社会の歪みまでを一身に背負える日本屈指の実力派表現者であることを証明しました。ネット上の浅薄なラベリングを、自らの研鑽と演技の強度だけで粉砕した好例といえます。