ステージ中央で演者がふわりと宙に浮き、金属のフープを全身に通して「吊り線がないこと」を証明する空中浮遊。この空中浮遊トリックの種明かしを紐解く鍵は、強靭なS字型支持アームと視線誘導の連携にあります。
浮遊する人物の背後には、舞台後方の黒幕や特殊な背景と同化した超高強度の油圧式支持アームが接続されています。このアームは演者の背中に装着された特殊ハーネスに固定されており、床面や舞台裏の油圧ピストンによってミリ単位で昇降します。
「フープを通しているのになぜ引っかからないのか」という疑問の答えは、アームの形状にあります。支持アームは真っ直ぐではなく、身体を迂回するように大きなS字カーブを描いて設計されています。マジシャンはフープを巧みに回転させながら、アームの屈曲部分をくぐらせるように通すことで、あたかも身体全体を完全に輪が通過したかのように見せかけているのです。照明のコントラストによってアームの影を完全に消し去るライティング設計も欠かせません。