コンクール現場で指揮棒を振る指導者たちへのヒアリングを行うと、データベースを駆使した選曲戦略の重要性が一層際立ちます。ある関東の強豪高校吹奏楽部顧問は、次のように内情を明かします。
「現在のコンクールは、部員の技量に合わせてただ好きな曲を演奏する時代ではありません。吹奏楽コンクールデータベースを使って、直近3〜5年で全国の審査員を務めた音楽家や大学教授の専門楽器、過去に高評価をつけた楽曲の系統を徹底的に分析します。金管の鳴りが評価されやすいのか、木管の精緻なアンサンブルが重視されるのかによって、選曲の優先度は180度変わります」
一方、かつて数々の名演を生み出した普門館の歴代音源記録は、現代のデジタルストリーミング時代においても特別な価値を持ち続けています。1980年代の駒澤大学や東京佼成ウインドオーケストラによる特別演奏、伝説的な金賞受賞校の記録テイクには、ホール特有の長い残響を味方につけた圧倒的なダイナミクスが刻み込まれています。SNSやファンのコミュニティでは、「当時のカセットテープや初期CDの音源こそが吹奏楽の原点」と語る熱心な愛好家が多く、古き良き名演のデータと現代の洗練されたスマートな演奏との差異を比較検証する試みが盛んに行われています。