アイスランドが国際舞台の主役に躍り出た背景を語る上で、過酷な気候条件を克服したインフラ整備の歴史を外すことはできません。かつてのアイスランドは、年の半分近くが雪と強風に閉ざされ、屋外でフットボールをプレーできる期間はわずか数カ月に限られていました。その環境を一変させたのが、2000年代初頭から国と自治体、サッカー協会(KSÍ)が一体となって推進した「フットボールハウス(全天候型大型ドーム)」の建設ラッシュです。
国内各所にフルサイズの人工芝ピッチを備えた暖房完備のインドア施設が次々と完成したことで、子どもたちが365日いつでもボールを蹴られる環境が整いました。当時の代表関係者が現地メディアの取材に「冬場に体育館の硬い床でフットサルまがいの練習をしていた時代とは、技術習得のスピードが劇的に変わった」と回顧した通り、この設備投資が次世代の基礎体力を劇的に底上げしたのです。
さらに決定打となったのが、指導者の質に対する徹底的な投資でした。アイスランドでは、人口わずか数百人に対して1人の割合でUEFA(欧州サッカー連盟)公認のA級・B級ライセンス保持者が存在します。これは欧州屈指の指導者密度であり、特筆すべきは「6歳〜10歳前後の幼少期から、プロ指導の資格を持つ専任コーチが直接指導にあたるシステム」を制度化した点にあります。指導者のレベルを高めて底辺を拡大し、限られた母数から1滴の才能も漏らさず吸い上げる仕組みこそが、サッカーアイスランド代表の強さの理由における最大のコアです。