トリコモナス(Trichomoniasis)の正体は、「膣トリコモナス原虫(Trichomonas vaginalis)」と呼ばれる、肉眼では確認できない単細胞の寄生虫です。原虫には4本の鞭毛(べんもう)があり、生殖器内の粘液中を活発に泳ぎ回りながら粘膜組織に取り付き、炎症を引き起こします。
クラミジアや淋菌のような「細菌」、ヘルペスやHPVのような「ウイルス」とは生物学的な分類が根本から異なります。そのため、一般的な抗生物質(ペニシリン系やマクロライド系など)をいくら服用してもトリコモナス原虫を死滅させることはできません。治療には、原虫のDNA合成を直接阻害する専用の「抗原虫薬」を使用する必要があります。
感染後のトリコモナス潜伏期間は通常4日〜28日(約1週間〜1ヶ月)とされていますが、原虫の増殖速度や宿主の免疫バランスによって大きく左右されます。人によっては自覚症状がまったくないまま数ヶ月から数年間にわたり原虫を生殖器内に潜伏・保持し続けているケースも報告されており、これが感染源の特定を難しくさせる要因となっています。