面白半分で誰もが気軽に投稿しているミームですが、実務・法務の観点からは極めてグレー、あるいは明白な違法状態を含んでいるケースが少なくありません。特にネットミームの著作権問題とプライバシー権・肖像権侵害は、企業アカウントのみならず個人ユーザーにとっても致命的なトラブルの火種となります。
漫画の1コマのセリフを書き換えた「コラ画像」や、アニメ・テレビ番組のキャプチャ画像、他人の顔写真を無断で使用する行為は、日本の現行著作権法において「公衆送信権の侵害」および「同一性保持権(著作者人格権)の侵害」に該当する可能性が極めて高いのが現実です。海外には「フェアユース(公正利用)」というパロディを一定容認する法理が存在する国もありますが、日本法には包括的なフェアユース規定が存在しません。
また、一般人が撮影された動画や画像が本人の意図しない形でミーム化(いわゆる「おもちゃ化」)され、世界中にデジタルタトゥーとして残り続ける人権侵害・プライバシー侵害も深刻な社会問題化しています。企業が安易にネット上の流行りに乗っかってミームを公式アカウントで引用し、「権利元への無配慮」「元ネタの差別的・暴力的背景の無理解」から大炎上に発展する事例が後を絶ちません。
【プロの結論】SNSミームを活用すべき人・慎重になるべき人の判断基準
情報発信やマーケティングにおいてSNSミームの使い方を検討する際は、以下の明確な基準で自己診断を行うことが不可欠です。
【ミームを積極的に活用してよい人・組織】
・自社独自の完全オリジナル素材(権利処理済みのキャラクターや社員出演)でフォーマットを構築できる発信者
・元ネタの発生源、文脈、派生したスラングのニュアンスまで徹底的にリサーチできるリテラシーを持つ層
・親しみやすさやユーモアがブランドイメージと合致しており、一定のツッコミやイジりを受け入れる許容度がある場合
【ミームの使用を今すぐ避ける・慎重になるべき人・組織】
・他人の著作物(漫画、アニメ、テレビ画面、他人の顔写真)の切り抜きやコラ画像に頼ろうとしている発信者
・信用、厳格さ、公共性が第一に求められるBtoB企業、金融・医療機関、公的機関
・「なんとなく流行っているから」という理由だけで、元ネタの意味や海外での政治的・差別的文脈を知らずに使おうとしている担当者