『迷宮ラブソング』のステージパフォーマンスを決定づけているのが、サビのクライマックスで披露される「手を引く振り付け」です。音楽番組やコンサートツアーにおいて、この瞬間になると会場から地鳴りのような歓声が上がった光景は、ファンの記憶に鮮烈に焼き付いています。
振り付けを担当したのは、嵐の数々のステージ演出を支えてきた一流コレオグラファーチーム。サビの「手を強く引くよ」という歌詞に合わせて、メンバーが一歩踏み込み、正面のカメラ(あるいは客席のファン)に向かって優しく右手を差し伸べた後、グッと胸元へと引き寄せるアクションを行います。特にドラマ主演を務めた櫻井翔がセンターで腰を落とし、まっすぐな視線で手を引く仕草は、執事・影山の気品とアイドルの包容力が見事に融合した瞬間でした。
当時の音楽雑誌のインタビューにおいて櫻井は、「見ている人が画面越しに本当に手を引かれているような感覚になってもらえたら」と語っており、カメラワークのミリ単位の角度まで計算し尽くされていたことが明かされています。受動的な鑑賞者であった視聴者を、一瞬にして当事者へと引き込むインタラクティブな演出効果が、この振り付けには組み込まれていたのです。